<217>三菱一号館美術館 「“カフェ”に集う芸術家」展

1889 Paris Expo
ラモン・カザス 『マドレーヌ』 photo©️Kyushima Nobuaki

「“カフェ”に集う芸術家」展

現在、東京・丸の内の三菱一号館美術館にて

“カフェ”に集う芸術家 一印象派からゴッホ、ロートレック、ピカンまで

という展覧会が開催中である。

会期は2026年6月13日〜9月23日。

ホームページの開催概要には次のようにある。

19世紀後半のパリ、マネや後に印象派と呼ばれることになる芸術家たちはカフェに集い、議論を戦わせました。
現代のカフェがくつろぎの場だとすれば、当時のカフェやキャバレー、ダンスホールは、飲食や娯楽を楽しむだけではなく、新たな芸術が生まれる場所となっていきます。
それは、サロン(官展)からの 脱却と共に、芸術が群衆に溶け込む新しい時代の始まりでもありました。
1897年、カタルーニャ出身の画家カザスはモンマルトルの有名店〈シャ・ノワール(黒猫)〉に倣って、バルセロナに〈クアトラ・ガッツ(4匹の猫)〉を開店。
若きピカソも通います。そして、ピカソは“カフェ“を舞台にロートレックやカザスが描いた悦楽や孤独に多大な影響を受けて、「青の時代」へと向かいます。
本展では、マネ、ゴッホ、ロートレック、ピカソによる名作の数々、そして
バルセロナが誇る至宝・カザス作《マドレーヌ》を加えた約130点から、
“カフェ“で生まれた芸術の広がりを展観します。

なかなか興味深いコンセプトである。

機関誌『シャ・ノワール』
photo©️Kyushima Nobuaki

テオフィル・アレクサンドル・スタンラン
『シャ・ノワール巡業公演』
photo©️Kyushima Nobuaki

クアトラ・ガッツとラモン・カザス

特に、昨年、バルセロナの「クアトラ・ガッツ(4匹の猫)」には実際訪問し、そのことについては

<154>ピカソが通った「4匹の猫 (Els 4 Gats)」

でご紹介した。

バルセロナの「4匹の猫」入り口
photo©️Kyushima Nobuaki

「4匹の猫」店内の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

「4匹の猫」店内の様子
右端には「ル・シャ・ノワール(Le Chat Noir、 黒猫)」のポスターが飾られている
photo©️Kyushima Nobuaki

そこでご紹介した、「クアトラ・ガッツ」のオープンに際して開業資金を提供したあのラモン・カザス(1866-1932)『マドレーヌ』(1892)が今回の展覧会のキー・ビジュアルになっているのも面白い。

三菱一号館美術館入り口付近
photo©️Kyushima Nobuaki

「“カフェ”に集う芸術家」展サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

ラモン・カザス
『マドレーヌ』
photo©️Kyushima Nobuaki

ラモン・カザスのタンデムの自画像のポスター(クアトラ・ガッツにて)
photo©️Kyushima Nobuaki

チモン・カザス
『アニス・デル・モノ』
photo©️Kyushima Nobuaki

今回の展覧会開催概要にピカソ「青の時代」へ向かう影響をうけた、といったことが書かれているが、実際に、このクアトラ・ガッツにピカソの親友になるカルロス・カサヘマスも通っており、2人はこの店で出会ったのであった。

そして、そのカサヘマスの死がピカソを「青の時代」に向かわせることになるのである。

もちろんそのピカソと万博の関係も数多く認められる。

このブログでも何度もご紹介してきた。

アンリ・リヴィエール『エッフェル塔の建築現場』

そして、その他にも今回の展覧会で万博に関連する画家や作品が認められる。

例えば、ピカソ、ロートレック、モディリアーニ、ユトリロ、ヴァロットン、ボナール、ゴッホ、ルノワール、マネ、ミュシャなど枚挙にいとまがない。

展示風景
photo©️Kyushima Nobuaki

アルフォンス・ミュシャ
『ジスモンダ』(サラ・ベルナール)
photo©️Kyushima Nobuaki

展示風景
photo©️Kyushima Nobuaki

パブロ・ピカソ
『カンカン』
photo©️Kyushima Nobuaki

パブロ・ピカソ
『酒場の二人の女』
photo©️Kyushima Nobuaki

モーリス・ユトリロ
『ムーラン・ド・ラ・ガレット』
photo©️Kyushima Nobuaki

モーリス・ユトリロ
『モンモランシーの通り』
photo©️Kyushima Nobuaki

パブロ・ピカソ
『貧しき食事』
photo©️Kyushima Nobuaki

アメデオ・モディリアーニ
『青いブラウスの婦人像』
photo©️Kyushima Nobuaki

さらに、日本からヨーロッパを訪れた川上音二郎一座を1900年パリ万博でプロデュースしたダンサー、ロイ・フラーを描いたロートレックの作品も見ることができる。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
『ロイ・フラー嬢』
photo©️Kyushima Nobuaki

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
『ロイ・フラー嬢』
photo©️Kyushima Nobuaki

万博関係の作品は数多く、全てはご紹介できないものの、実際に展覧会場を訪れればいかにその数が多いかを体感していただけるかもしれない。

その中で、今回特にご紹介したいのはアンリ・リヴィエールである。

彼については

<182>アンリ・リヴィエールの『エッフェル塔三十六景

など何度かご紹介してきた。

アンリ・リヴィエール『建設中のエッフェル塔、トロカデロ宮からの眺め』(『エッフェル塔三十六景』の一枚)
Henri Rivière ”Eiffel Tower under construction, view from the Trocadero” (one of “36 views of the Eiffel Tower”)

今回、彼の作品が2点展示されている。

1点は『エッフェル塔の建築現場』、もう1点は『波「レスタンプ・オリジナル」』というものである。

アンリ・リヴィエール
『エッフェル塔の建築現場』
photo©️Kyushima Nobuaki

アンリ・リヴィエール
波『レスタンプ・オリジナル」
photo©️Kyushima Nobuaki

その解説パネルにはアンリ・リヴィエールについて過去のような説明があった。

アンリ・リヴィエールは、18歳頃からサリスの芸術キャバレー <シャ・ノワール>に出入りし、機関紙の編集・挿絵を通して、多くの芸術家と交流しました。1885年の移伝後、影絵芝居の劇場が店内に設けられると、1886年からその制作を任され、亜鉛版を切り抜いたシルエットや、透通素材を用いて表現を発展させます。自作の「星への歩み」は大きな成功を収め、1897年の閉場まで店の名声を支えました。この舞台経験は版画に生かされ、本作ではエッフェル塔建設の工事風景が捉えられています。北斎の《富嶽三十六景》に着想した《エッフェル塔三十六景》や、《波》へと展開していきました。本作では、実際には困らない紙の白い部分を飛沫として生かすなど、海の吸間的な通助を簡潔な形と色で表現しています。

彼が『エッフェル塔三十六景』で描いたエッフェル塔1889年パリ万博の際に建てられたものであることはいうまでもない。

上記の解説でわかるように、アンリ・リヴィエールも、バルセロナの「クアトラ・ガッツ」の発想の元になった「シャ・ノワール」に出入りしていたのである。

「“カフェ”に集う芸術家」展サイン
右下に黒猫が。
photo©️Kyushima Nobuaki

彼は、1888年にはその美術監督にも就任し、カフェ文化の発展に貢献していた人物だったのである。

 

 

 

 

 

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