<210>ブリスベン万博のアート・プロジェクト

1988 Brisbane
『ザ・ダンサーズ(The Dancers)』 photo©️Kyushima Nobuaki

『ザ・ダンサーズ (The Dancers)』

<209>でご紹介したスカイニードル

川の向かいのスカイデッキからみたスカイニードル
photo©️Kyushima Nobuaki

現在そのスカイニードルが移設されているマニング・ストリート沿いに少し行った、メルボルン・ストリートとの角のあたりに不思議な白いアート作品が立っている。

『ザ・ダンサーズ(The Dancers)』
photo©️Kyushima Nobuaki

マニング・ストリートの表示
photo©️Kyushima Nobuaki

メルボルン・ストリートの表示
photo©️Kyushima Nobuaki

『ザ・ダンサーズ(The Dancers)』右奥にスカイニードルが見える
photo©️Kyushima Nobuaki

マニング・ストリートとメルボルン・ストリートの交差点に立つ『ザ・ダンサーズ(The Dancers)』
photo©️Kyushima Nobuaki

この作品こそ、1988年ブリスベン万博の名残の一つである『ザ・ダンサーズ (The Dancers)』である。

『ヒューマン・ファクター・シリーズ』

1988年ブリスベン万博では、数々のアートプロジェクトが実施された。

その中の一つが『ヒューマン・ファクター・シリーズ』といわれたプロジェクトであった。

この『ヒューマン・ファクター・シリーズ (The Human Factor series)』は万博で最も愛され、象徴的だったプロジェクトのひとつであった。

クリエイティブ集団「アートバスターズ」によって制作された、88体の実物大グラスファイバー製フィギュアが設置されたのである。

これらの作品は、匿名性の高い真っ白(または単色)の人物像が、テニスをしたり、一輪車に乗ったり、ベンチでくつろいだりと、万博のテーマである「レジャー(余暇)」を体現していた。

今でもブリスベン市内にこれらの作品のいくつかが復刻版として、散在する形で展示されている。

その一つがこの『ザ・ダンサーズ (The Dancers)』というわけである。

1988年ブリスベン万博の象徴ともいえる「スカイニードル」のすぐ近くに設置されたこの作品は、その白い色と独特なポーズで大変に目を惹く。

そこに設置されたパネルには以下のように書かれている。

「The Dancers」の解説パネル
photo©️Kyushima Nobuaki

Artbusters
The Human Factor series – The Dancers 2018
bronze
The Human Factor series was created by Brisbane’s Artbusters in the late 1980s. The first iterations of this iconic series were installed throughout the World Expo ’88 site. The figures seen here today have been re-imaged and re-cast for the 30t anniversary of World Expo ’88, giving residents and visitors a sense of the celebration that World Expo ’88 was.
Many believe that World Expo ’88 was Brisbane’s coming of age, as the city experienced different cultures, food, lifestyle and entertainment.
The number of visits over the six months exceeded 15.7 million. On 30 October 1988, the song
‘The Carnival is Over’ was performed by the Seekers at the closing ceremony and was considered an appropriate end to Brisbane’s biggest party.
(翻訳)
アートバスターズ
ヒューマン・ファクター・シリーズ – ダンサーズ 2018
ブロンズ
ヒューマン・ファクター・シリーズは、1980年代後半にブリスベンのアートバスターズによって制作されました。この象徴的なシリーズの最初の作品は、1988年ブリスベン万博の会場全体に設置されました。今日ここに展示されている作品は、1988年ブリスベン万博30周年を記念して再制作・再鋳造されたもので、市民や来場者に万博の祝祭感を味わってもらうことを目的としています。
多くの人が、1988年ブリスベン万博はブリスベンの成熟期を象徴する出来事だったと考えています。この都市は、様々な文化、食、ライフスタイル、エンターテイメントを体験しました。
6ヶ月間の来場者数は1570万人を超えました。1988年10月30日、閉会式ではシーカーズが「カーニバル・イズ・オーバー」を演奏し、ブリスベン最大の祭典にふさわしい締めくくりとなりました。

つまり、この作品は1988年ブリスベン万博の30周年を記念して再制作・再鋳造されたものである。

もう一つの『ヒューマン・ファクター・シリーズ』

今回の視察ではもう一つの『ヒューマン・ファクター・シリーズ』に出会うことができた。

それは、会場からブリスベン川を渡った先のキングジョージ・スクエアの横の建物に設置されていた。

キングジョージ・スクエアの様子。夏のクリスマスツリー。
photo©️Kyushima Nobuaki

「ジャグラー」が設置されているエリアからキングジョージ・スクエアを望む。
photo©️Kyushima Nobuaki

キングジョージ・スクエア近くに改めて設置された「The Juggler」
photo©️Kyushima Nobuaki

そのタイトルは『ザ・ジャグラー (The Juggler)』(2017)

キングジョージ・スクエア近くに改めて設置された「The Juggler」
photo©️Kyushima Nobuaki

一瞬振り返って見てしまうような作品である。

この作品パネルにも『ザ・ダンサーズ (The Dancers)』と同様な文章が書かれている。

キングジョージ・スクエア近くにある「The Juggler」のパネル
photo©️Kyushima Nobuaki

この作品には「2017」との記述があるので、30周年で始まったプロジェクトが2017年まで続いていたということだろうか。

1988年ブリスベン万博 パブリック・アート・トレール

これらのパネルの下には、次のような文章が書かれている。

World Expo ’88 Public Art Trail
To celebrate 30th anniversary of World Expo ’88 Brisbane City Council has undertaken series of artwork restorations and relocations.
Explore our exciting and creative city through Brisbane’s public art collection.
For more artworks, visit brisbane.qld.gov.au(翻訳)
1988年万博 パブリック・アート・トレイル
1988年万博30周年を記念して、ブリスベン市議会は一連のアート作品の修復と移設を実施しました。
ブリスベンのパブリックアート・コレクションを通して、刺激的で創造的な街を探索しましょう。
その他の作品については、brisbane.qld.gov.auをご覧ください。

ブリスベンでは、パブリック・アート・トレイルとして、今でもこのように万博のレガシーを継承しつづけているのである。

これで<183>から断続的にご紹介してきたオーストラリア編は終了となる。

1879-80年シドニー万博
1880-81年メルボルン万博
1888-89年メルボルン万博
1988年ブリスベン万博

と4つの万博を現地視察からご紹介した。

シドニー、メルボルン、ブリスベンとそれぞれの都市にはそれぞれの特色があり大変印象深かった。

そういえば、堺屋太一さんが、何かのエッセイで、1988年ブリスベン万博を訪れた時のお話を書かれていた。

詳細は覚えていないが、夕刻に、ブリスベン万博会場で風に吹かれながら座っていると非常に気分が良かった、というような内容だったかと思う。

実際にこのブリスベン万博会場跡地を見てみると、川沿いでまさに心地よい会場だったことが得心できる。

パビリオンを見るだけでなく、会場そのものを楽しむ、といった万博の達人、堺屋さんならではの感想だなあ、と感じたことを想い出す。

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