もう一つのバルセロナ万博
<143>から<146>まで、1888年バルセロナ万博に関連した情報をご紹介してきた。
じつは、バルセロナではその後も万博が開催された。
それは1929年5月20日から翌1930年1月15日まで開催された万博、「1929~30年バルセロナ万博」(International Exhibition of Barcelona 1929)である。
参加国数は29。入場者数は580万人という規模だった。
会場は、今も人々を集めるモンジュイックの丘のあたりである。
1888年の万博を成功させたバルセロナは、その後1905年には、電化と工業化の目覚ましい成果をアピールするために再度万博を企画した。
第1次世界大戦で一度は立ち消えになったものの、その後この万博企画を復活させ、1929年に実現にこぎつけたのである。
参加国の29のうち、公式参加は14カ国。
これらはいずれもヨーロッパの国で、日本や米国は民間企業が参加する形となった。
テーマとしては「産業、アートとスポーツ」が採用された。
「スポーツ」というのは万博としては珍しいが、会場にはテニスコート、プールやスタジアムも設置され、スポーツのいろいろな競技も実際におこなわれた(このときにはオリンピックはすでに万博から独立していた)。
セビリアの「イベロアメリカ博覧会」
じつはこのバルセロナ万博と同じ1929~30年には、セビリアでも「イベロアメリカ博覧会」という万博が開催されている。
コロンブスがアメリカ大陸への航海をセビリアから始めた、ということもあり、当初計画のマドリードではなく、セビリアで開催されることになったものだ。
そういったこともあり、会場内の川にはコロンブスの「サンタ・マリア号」の複製が浮かべられていたりした。
この「バルセロナ万博」と「セビリア万博」は同時進行的に開催され、2つ合わせて「スペイン総合万博」と呼ばれていたのである。
モンジュイックの丘にのこるバルセロナ万博の名残り
さて、今回訪れたバルセロナのモンジュイックの丘には、この1929~30年バルセロナ万博の名残となる建物がいくつか残っている。

スペイン広場
photo©️Kyushima Nobuaki

スペイン広場からカタルーニャ美術館を望む
photo©️Kyushima Nobuaki
モンジュイックはバルセロナの南西に位置する標高173mの丘である。
1929年には万博が開催されたが、その後1992年にはバルセロナ・オリンピックのメイン会場となった。
カタルーニャ美術館
まず、スペイン広場から丘を望むと、大きな宮殿のような建物が見える。
これがカタルーニャ美術館である。
1929~30年バルセロナ万博の際、政府館として建てられた建物だ。

正面に立つのがカタルーニャ美術館
photo©️Kyushima Nobuaki

カタルーニャ美術館
photo©️Kyushima Nobuaki

カタルーニャ美術館
photo©️Kyushima Nobuaki
その後1934年、(旧)カタルーニャ美術館となった。
今は、スペイン国立の美術館となっている。
オリンピック・スタジアム
テーマに「スポーツ」と入っていたためか、このエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス(Estadi Olímpic Lluís Companys)というスタジアムも、もともとは1929年バルセロナ万博のために作られたものである。
建築家ペレ・ドメネク・イ・ロウラによって設計され、万博の開会日である1929年5月20日に正式に開場した。
その後、1992年にはバルセロナ・オリンピックのメイン会場となった。

バルセロナ・オリンピック・スタジアム
photo©️Kyushima Nobuaki
その近くには磯崎新が同じく1992年バルセロナ・オリンピックのために設計したサン・ジョルディ・スポーツ館が見える。

磯崎新設計のサン・ジョルディ・スポーツ館
photo©️Kyushima Nobuaki
カタルーニャ考古学博物館
1929~30年バルセロナ万博では美術展示会場(グラフィック・アート館)として使用された。
イタリア・ルネッサンス様式の建物である。
3,000㎡を超える常設展示室を誇っている。

カタルーニャ考古学博物館
photo©️Kyushima Nobuaki

カタルーニャ考古学博物館
photo©️Kyushima Nobuaki
上記の他、民俗学博物館や、次回以降ご紹介するスペイン村などいくつかの施設もバルセロナ万博関連施設である。
このようにバルセロナのモンジュイックの丘にはまだ1929~30年バルセロナ万博当時に建てられた建物がまだ現役として活用されているのである。
*2025年大阪・関西万博の入場者数*
さて、現在、2025年大阪・関西万博が開催中である。
筆者は開催6日目の4月19日に早速一度訪問した。
その模様は機会があればまたご紹介したい。
やはり、入場者数が気になるので、公式サイトからの情報を時々記録することにする。
今回は関係者入場証(AD証)による入場者数もカウントしているところが面白い。
実態の入場者数がわかっていい試みだと思う。
○大阪・関西万博入場者数(2025年4月13日~4月19日)
4月13日(日) 146,426人 開幕日
4月14日(月) 70,488人
4月15日(火) 63,719人
4月16日(水) 73,869人
4月17日(木) 82,692人
4月18日(金) 93,908人
4月19日(土) 108,773人
合計639,875人 (うち、AD証(関係者入場証)入場者数114,938人)
4月20日(日) 95,524人
4月21日(月) 99,638人
4月22日(火) 103,729人
4月23日(水) 99,140人
4月24日(木) 108,888人
4月25日(金) 110,759人
4月26日(土) 122,102人
合計739,780人 (うち、AD証入場者数120,654人)
4月27日(日) 102,015人
4月28日(月) 121,282人
4月29日(火) 97,559人
4月30日(水) 101,397人
5月1日(木) 105,945人
5月2日(金) 104,805人
5月3日(土) 120,696人
合計753,699人 うち、AD証入場者数123,059人
○2025年4月13日からの累計
2025年5月3日(土)現在
累計来場者数 2,133,354人(うちAD証入場者数 358,651人)
ゴールデン・ウィーク中はもっと伸びるかと思ったが、人混みを予想したのかそこまでの入場者数ではない。
さて、これから暑い季節を迎えるが、入場者数の推移がどうなるか楽しみである。