パリのマルモッタン・モネ美術館
マルモッタン・モネ美術館はパリの16区の閑静な住宅街にある美術館である。
16区といえば、パリでも一番の高級住宅街の区として有名である。
筆者がパリによく出張していた1990年代前半には単に「マルモッタン美術館」と呼ばれていたと思うが、今回行ってみると「マルモッタン・モネ美術館」という名に変わっていた。

マルモッタン・モネ美術館 外観
photo©️Kyushima Nobuaki

マルモッタン・モネ美術館
建物の壁にあるサイン
photo©️Kyushima Nobuaki
調べると、1990年代に名称変更されたらしい。
さらに調べたが正確な年はわからなかった。
Wikipediaフランス語版にも、1990年代にマルモッタン・モネ美術館と改称された、とある。
公式サイトも見たが、明記されていない。
なぜ正確な年月日がわからないのか不思議であるが、すくなくとも来場者には、今の名前の方がわかりやすいかもしれない。
ミシェル・モネのコレクション
ミシェル・モネはクロード・モネの次男として1878年(ちょうど第3回パリ万博開催の年)に生まれた。

マルモッタン・モネ美術館
モネと「モネの池」の写真
photo©️Kyushima Nobuaki
長男のジャン・モネが1891年に早世したため、モネ夫妻の唯一の実子としてミシェルが父のコレクションの管理をすることになった。
ミシェル・モネは1966年に87歳で事故死したが、彼が所持していた父クロード・モネの約150点の作品群をマルモッタン美術館(当時)に遺贈したのである。

マルモッタン・モネ美術館
もちろん『睡蓮』もある
photo©️Kyushima Nobuaki

マルモッタン・モネ美術館
もちろん『睡蓮』もある
photo©️Kyushima Nobuaki
『印象・日の出』
この作品は、批評家から「印象」という言葉で揶揄され、それが後にこのグループを指す「印象派(Impressionnisme)」という名称の由来となったという非常に重要な作品である。
このマルモッタン・モネ美術館は、その『印象・日の出』を所蔵していることで有名である。

パリ、マルモッタン・モネ美術館の『印象・日の出』
photo©️Kyushima Nobuaki
『印象・日の出』は、モネの医者だったジョルジュ・ド・ベリオのコレクションとして1940年にマルモッタン美術館(当時)に寄贈されたものである。
マルモッタン美術館は、そもそもポール・マルモッタン(1856-1966)が集めた新古典主義のコレクションをもとに、1934年に設立された美術館であった。
そこには印象派のモネ作品はもともとなかったが、1940年にジョルジュ・ド・ベリオ所蔵の『印象・日の出』が寄贈されたのである。
そのことが、ミシェル・モネが自分のコレクションをマルモッタン美術館に遺贈する動機のひとつになったとされている。
いずれにしても久しぶりに見る『印象・日の出』は以前と変わらず、あまり大きくない絶妙なサイズであるが、その存在感はとても大きい。
今回も、この名作の周りには多くの人が集まってゆっくりと贅沢な時間を過ごしていたのであった。