<184>オーストラリアと博覧会②

（<183>より続く）

世界は万博の時代へ

オーストラリアがそんな状況の中、世界は万博の時代を迎えるのである。

19世紀半ばには、世界初の万博である1851年ロンドン万博が開催された。

その後、世界で開催された主な万博として

と続くことになる。

なお、以下の博覧会に関連する情報の多くは

による。

ヴィクトリア州で開催された1854年メルボルン博覧会（The Melbourne Exhibition 1854）

そんな中、ヴィクトリア州はメルボルンで1854年に植民地初の第1回（国内）博覧会を開催する。
ロンドンで世界初の万博が開催されてからわずか3年後である。

2万ポンドの予算でウィリアム・ストリートに建設された会場では、小麦など穀物・羊毛・畜産製品といった農牧業産品に加え、鉱物標本、金、化石、採掘模型、アボリジニの工芸品の展示、そして鞍、家具、かご、敷物、ブーツなどの植民地製の多種多様な実用品が展示された。

この博覧会には開催されていた10月〜11月の1ヶ月間に約4万人が入場したという。（当時のメルボルンの人口が約12~13万人であることを考えると、非常に高い関心を集めたといってよいだろう。）

この博覧会の目的は、翌年1855年パリ万博に出展するための品々を収集することだった。

パリ万博という国際的な舞台でヴィクトリア州を宣伝することは大変重要なミッションだったのである。

1861年ヴィクトリア植民地博覧会（The Victorian Exhibition of 1861）

次に博覧会が行われたのは1861年だった。

開催期間は1861年10月1日〜11月29日
会場は1854年と同じくメルボルンのウィリアム・ストリートで、1854年の展示館を利用し、1861年に改修・増築して開催された。

そのウィリアム・ストリートの展示館で、703点の展示品が展示された。

この中には、1851年以降にヴィクトリア州で採掘された金の量を表す「金」のオベリスクもあった。

60日間開かれたこのヴィクトリア州の博覧会には、約7万人の入場者が集まったという。

この博覧会は、翌年の1862年ロンドン万博に出展するための品々を集める目的のものであった。

1866~67年オーストララシア植民地間博覧会（The Intercolonial Exhibition of Australasia 1866-67）

1866年には同じくヴィクトリア植民地のメルボルンで最初の植民地間博覧会が開催された。

正式名称は

この「オーストララシア」とは主にオーストラリアとニュージーランドを中心とした地域を指す言葉である。

開催場所はメルボルンの州立図書館とその裏手の特設会場であった。

ちなみにこの州立図書館は、スワンストン・ストリート（Swanston Street）沿いの、現在のヴィクトリア州立図書館（State Library Victoria)と同じ場所にあった。

開催期間は、1866年10月24日〜1867年2月23日（147日間）であり、入場者数は約26万人という規模であった。

当時のヴィクトリア植民地全体の人口（約628,000人）や、メルボルンの人口（約139,916人）と比較すると、この入場者数がいかに多かったかが分かる。

この博覧会は「植民地間」というだけあって、ニューサウスウェールズ、南オーストラリア、タスマニア、西オーストラリア、クイーンズランド、ニュージーランド、さらにバタヴィア（オランダ領東インド）やニューカレドニアも参加した。

そしてこの博覧会の目的の大きな一つは1867年パリ万博への出展物の収集であった。

このパターン（欧米の万博の前年に博覧会を開催して出展物を収集する）はこの後も続いていくことになるのである。（<185>に続く）