<182>アンリ・リヴィエールの『エッフェル塔三十六景』

1889 Paris Expo
『エッフェル塔を支える柱』(『エッフェル塔三十六景』より)アンリ・リヴィエール

オルセー美術館に展示された万博に関連した作家たちの名品群

オルセー美術館には万博に関連した様々な19世紀の作家の作品が展示されている。

これまでも何度かご紹介してきたその作家の中には、マネモネルノワールゴッホドガゴーガンロートレックハマスホイガレなど日本でも有名な芸術家が含まれている。

今回もそういった作家の名品をオルセー美術館で堪能することができた。

エドゥアール・マネ『オランピア』

クロード・モネ『サン・ラザール駅』

ピエール=オーギュスト・ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』

フィンセント・ファン・ゴッホ『ファン・ゴッホのアルルの寝室』

エドガー・ドガ『アブサン』

ポール・ゴーガン『自画像』

ヴィルヘルム・ハマスホイ『室内、ストランゲーゼ30番地』

エミール・ガレの作品群

 

アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』

そして、エッフェル塔の写真を撮ったり、葛飾北斎安藤広重の影響を受けて『エッフェル塔三十六景』を描いたりと、エッフェル塔ができた1889年パリ万博に欠かせないのがアンリ・リヴィエール(1864-1951) である。

今回訪れたオルセー美術館には、アンリ・リヴィエールの特別展示コーナーがあり、そこで、彼のエッフェル塔の写真、『エッフェル塔三十六景』の作品数点が展示されていた。

写真家でもあった彼は写真を活用したことで知られている。

今回の展示の解説パネルには次のように書かれている。

アンリ・リヴィエール、「カメラを持った男」
デッサン家、イラストレーター、画家兼版画家、舞台美術家、極東美術収集家
リヴィエール(1864-1951)は、視覚芸術分野における技術的革新と美的革新の両方に興味を抱いた、多才な芸術家でした。パリのキャバレー「シャ・ノワール」で影絵人形劇の実験と完成に取り組み、多色木版画を革新し、版画シリーズを広く世に送り出し、先駆的で大胆な視点を持つアマチュア写真家としても活動しました。(後略)

今回もエッフェル塔の工事中の様子を撮った写真が展示されている。

『エッフェル塔の2番目のプラットフォームで休憩する作業員と訪問者』アンリ・リヴィエール 1889

『エッフェル塔の鐘楼のアーチ状の梁に立つ労働者と訪問者』アンリ・リヴィエール 1889

『エッフェル塔の北側の柱の足場に立つ訪問者』アンリ・リヴィエール 1889

『バトー・ムーシュから見たエッフェル塔』アンリ・リヴィエール 1889

『エッフェル塔の結び目のあるロープに立つペンキ塗り』アンリ・リヴィエール 1889

『エッフェル塔の梁に沿って作業する労働者』
アンリ・リヴィエール 1889

『低い角度から見た鐘楼とエッフェル塔のランタン』アンリ・リヴィエール 1889

また、1902年に出版された『エッフェル塔三十六景』からは『建設中のエッフェル塔、トロカデロ宮からの眺め』が有名だが、今回は次の作品が展示されていた。

アンリ・リヴィエール『建設中のエッフェル塔、トロカデロ宮からの眺め』(『エッフェル塔三十六景』の一枚)
Henri Rivière ”Eiffel Tower under construction, view from the Trocadero” (one of “36 views of the Eiffel Tower”)

『エッフェル塔を支える柱』(『エッフェル塔三十六景』より)アンリ・リヴィエール

『エッフェル塔を支える柱』の元になった写真アンリ・リヴィエール

やはり、あきらかに日本の浮世絵の影響を受けている作品だが、富士山のかわりにエッフェル塔を主題とし、パリの風景を描く手腕は素晴らしいと感嘆せざるを得ない。

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