<178>第77回正倉院展と「奈良博覧会」とパリ万博

1867 Paris
第77回正倉院展サイン photo©️Kyushima Nobuaki

第77回正倉院展

奈良の奈良国立博物館で、「第77回正倉院展」が開催中である。

開催期間は、2025年10月25日(土)~11月10日(月)

その初日に秋の奈良を訪れてみた。

第77回正倉院展サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

第77回正倉院展開催中の国立奈良博物館
photo©️Kyushima Nobuaki

第77回正倉院展開催中の国立奈良博物館
photo©️Kyushima Nobuaki

以前は予約制ではなかったので長時間並ぶ覚悟が必要だったが、最近は予約制なので、予約時間の少し前に行けば10分ちょっと列に並ぶだけで入ることができる。

今回の「第77回正倉院展」のホームページによると、今回の内容は以下の通りである。(抜粋)

古都・奈良に秋の深まりを知らせる正倉院展が、今年、77回目の開催を迎えます。
 正倉院宝物は、 校倉造で知られる正倉院正倉におよそ1300年ものときをこえて守り伝えられてきた宝物群です。奈良時代に日本を治めた聖武天皇のご遺愛品をはじめ、平城京を舞台に花開いた天平文化の粋を伝える貴重な品々で構成されており、その数はおよそ9000件にものぼります。天皇の勅封という厳重な管理体制のもと、まとまったかたちで今日まで守り伝えられた稀有の宝物群であり、世界的にも極めて高い価値を誇っています。
 今年の正倉院展でも選りすぐりの宝物が会場を彩り、私たちを天平の華やぎの世界へと誘います。聖武天皇の身近におかれた「木画紫檀の双六局」(北倉37)、「鳥毛篆書の屏風」(北倉44)といった宝物は、高貴な素材と技が駆使された最高級の調度品で、華やかで知的な雰囲気にあふれた宮廷生活を偲ばせます。
一方、ほとけへの捧げものを収めた「黒柿蘇芳染金銀山水絵箱」(中倉156)など、技巧を凝らした祈りの宝物を通じて、仏教をよりどころとした当時の人々の心にも近づくことができるでしょう。
 また、豊麗な花文様を表した「花氈」(北倉150)、深い紺色がなんとも美しい「瑠璃坏」(中倉70)、名香「蘭奢待」として世に知られる「黄熟香」(中倉135)など異国情緒あふれる品々から、シルクロードを通じた当時の国際色ゆたかな都の情景が垣間見えます。
宮内庁正倉院事務所による最新の宝物調査の成果も織り交ぜながら、豪華なラインナップで開催する今年の正倉院展を、ぜひともご堪能ください。

会場内は写真撮影禁止なので作品の写真をお伝えすることはできないが、周囲の雰囲気の写真はアップしておこう。

第77回正倉院展サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

第77回正倉院展 会場内サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

第77回正倉院展 会場内サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

予想通り多くの人で賑わっていた。

数々の宝物はさすがに素晴らしく、わざわざ東京から来てみる価値はある。

以前より随分外国人観光客が増えた気はするが、それでもまわりののんびりした鹿にもいやされて奈良の昔に戻ったような気分にもなる。

奈良国立博物館周辺の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

奈良国立博物館周辺の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

「奈良博覧会」のはじまり

さて、この正倉院展だが、もともとは「奈良博覧会」として始まった。

第一回目の「奈良博覧会」1875年(明治8年)奈良の東大寺大仏殿および回廊を会場とし、官民共同で設立された「奈良博覧会社」(1874年創立)が主催して行われた。

東大寺大仏殿
photo©️Kyushima Nobuaki

会期は1875年4月1日から6月19日までの約80日間。

この博覧会で、史上初めて、正倉院宝物約220件、合計1,700点以上が一般に向けて公開されたのである。

聖武天皇・光明皇后ゆかりの品々が展示され、人々に大きな感銘を与えた。

今回の「正倉院展」で展示されている、名香「蘭奢待」として世に知られる「黄熟香」もこの博覧会で展示されたと記録されている。

また、他にも、法隆寺や東大寺などの寺宝、各種特産品、宮内省から拝借した御物、模写や模造事業など、多岐にわたる内容が展開された。

この博覧会は約17万人を集めたという。

さて、この「奈良博覧会」は1875年(明治8年)の第1回から、1894年(明治27年)まで少なくとも18回開催された。(ただし、途中開催されなかった年もあった)。

1894年に「奈良博覧会」は一旦終了することになったのである。

「正倉院展」の始まり

そして第二次世界大戦直後の1946年(昭和21年)に「正倉院展」が初めて開催されることになるのである。

第1回目の「正倉院展」は奈良帝室博物館(現在の奈良国立博物館)で開催された。そして、その後3回の東京開催を除き、ほぼ毎年奈良で開催されているのである。

そして今回第77回を迎えたというわけである。

ちなみに、奈良国立博物館のホームページによると、次のようにある。

 わが国における博物館の創設は、慶応3年(1867)にフランスのパリで開催された万国博覧会を契機として、 明治4年(1871)に文部省内に博物局が設けられ、湯島聖堂大成殿を会場に博覧会が開催されたことで、その第一歩が踏み出された。 奈良においては明治7年(1874)に官民合同による奈良博覧会社が設立され、翌年に東大寺大仏殿とその廻廊を会場として奈良博覧会が開かれ、 正倉院宝物をはじめ貴重な宝物類が陳列された。この博覧会は明治27年(1894)まで続けられたが、明治維新前後の神仏分離政策等よって散逸の恐れのあった多くの宝物類は、博覧会によって人々に貴重な遺産として認識されるようになった。

パリ万博との関係

上記のように、やはり、奈良博覧会奈良国立博物館1867年パリ万博が契機となったものであった。

ことほどさように、万博はさまざまな我々の身近のものを生み出してきたのである。

 

 

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