<200>国立工芸館で開催中の「ルネ・ラリック展」①

1925 Paris Expo
ロベール・ボンフィス『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

国立工芸館で開催中の「ルネ・ラリック展」

金沢の国立工芸館「ルネ・ラリック展」が始まったというので視察に行ってみた。(2026年3月)

展覧会概要は下記の通り。

「ルネ・ラリック展」
会場: 国立工芸館 (金沢市)
会期: 2026年3月20日〜6月14日

この「国立工芸館」はもともと1977年に東京国立近代美術館工芸館として東京・北の丸公園に開館したものだが、石川県の誘致により金沢市に移転することが決まり、2020年に金沢で新スタートした。

建物は、明治期の旧陸軍施設を移築・復元したものであり、旧陸軍第九師団司令部庁舎(1898年 左側)と旧陸軍金沢偕行社(1909年 右側)からなる。
これらは1997年に国の登録有形文化財に指定されている。

「国立工芸館」外観
photo©️Kyushima Nobuaki

登録有形文化財指定のパネル
photo©️Kyushima Nobuaki

そこで現在開催中なのが「ルネ・ラリック展」である。
ルネ・ラリックを中心に、エミール・ガレドーム兄弟の作品も多数展示されている。

国立工芸館「ルネ・ラリック展」サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

国立工芸館「ルネ・ラリック展」サイン(館内)
photo©️Kyushima Nobuaki

展示作品は大変充実しており、東京で開催されたとするとこんなに少ない観覧者の中でゆっくり鑑賞することは難しいだろう。

ここにも万博に関連したものがいくつか展示されている。

1925年パリ万博(アール・デコ博覧会)の公式ポスター

まず筆者の目を引いたのがポスターである。
これは1925年パリで開催されたアール・デコ博覧会のポスターである。

これまでもいくつかの展覧会で見たこともあり、ご紹介したこともあるが(<6><19><20><28><45><50><110><175><176><181>など )、ポスターが4点も同時に展示されているのは初めてである。

この博覧会ではポスターがいくつ制作されたかについては正確な情報はないが、公式ポスターとして商工省(Ministere du Commerce et de L’Industrie)が認めているものとしては今回展示されている4種類が認定されていることが多い。

シャルル・ルポー『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

工場の煙が花のような姿を見せる姿を描いている、とされるが、うすい煙が花になっているのはともかく、それを真っ黒な煙が縦断している。

このポスターを見るたびに、この作者はなにか公害的な批判を含めたのではないかと考えてしまう。

しかし、当時は煙突が立ち並び、黒煙がでている風景は活気ある豊かな社会の証として誇らしく描かれることが一般的であったらしい。

そうでなければ政府や博覧会協会はこのポスターを公式とはしなかっただろう。

シャルル・ルポー『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

ロベール・ボンフィス『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

跳ねる鹿と、花をもつ女性のデザインで、最も有名なものといえよう。
同じ図案が公式カタログにも採用されている。

ロベール・ボンフィス『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

エミール=アントワーヌ・ブールデル『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

ロダンの弟子で当時フランス最高の彫刻家とされた巨匠による作品。

エミール=アントワーヌ・ブールデル『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

アンドレ・ジラール『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

工場の多くの煙突と人物たちがピラミッドを形作っている。
ここでも煙突や黒煙がポジティブに捉えられているようだ。

アンドレ・ジラール『現代装飾美術・工業美術国際博覧会』

上記4点のポスターはいずれも、「Ministere du Commerce et de L’Industrie」(商工省)という文字が含まれており、公式ポスターとして制作されたことが伺える。

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