<215>國學院大學博物館で開催中の日本・ベルギー展

1893 Chicago
宮川香山『花瓶』 photo©️Kyushima Nobuaki

特別展「日本・ベルギー修好160周年記念 ―美と知の交流の軌跡―」

現在、東京・渋谷の國學院大學博物館で、

が開催中である。

開催期間は、2026年5月23日(土)~6月28日(日)

國學院大學博物館入り口付近の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

國學院大學博物館入り口付近の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

ホームページの紹介には、下記のようにある

1866年に日本とベルギーは「修好通商航海条約」を締結し、今年で160年を迎えます。両国は制度・文化・芸術において、 互いに影響を与えながら近代国家として歩み続けてきました。この度、 協定校である國學院大學とベルギーのルーヴェン・カトリック大学との共催、 駐日ベルギー大使館の後援のもと、修好160年を記念する特別展を開催します。
本展では、「美」と「知」をキーワードに、両国の交流の軌跡を双方向から紹介します。交流の起点となる「日白修好通商航海条約批准書原本」、本展で初の里帰りとなる明治天皇御寄贈の工芸品など、ベルギー外交文書、ベルギー王国所蔵品、國學院大學コレクションから、両国の交流史について展示します。また、ベルギー王立美術歴史博物館所蔵の珠玉の浮世絵と本学の浮世絵コレクションとを織り交ぜ、ベルギー・シュルレアリスムにも関わったドートルモンの作品などを通じて、影響し合う「美」の交流について示します。(後略)

入場料無料ではあるが、充実した展示内容である。

東洲斎写楽喜多川歌麿の作品など、ベルギー王立美術歴史博物館から素晴らしい作品が里帰りしている。

展示の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

展示の様子
photo©️Kyushima Nobuaki

また、個人的には最初の方に展示してあった鈴木春信(1725?-70)の『官女』(ベルギー王立美術歴史博物館)という浮世絵と、それをモチーフにした「ユーロパリア・ジャパン」(1989年開催)の浮世絵展のポスターが懐かしかった。

まさかこんなところで再会するとは。

1989年の「ユーロパリア・ジャパン」

筆者は当時、この「ユーロパリア・ジャパン」のプロジェクトを担当していたのであった。

このユーロパリアというのはEU各国のいわば文化祭のようなもので、隔年でどこかの国をテーマに、ベルギーで開催されている。(現在も継続中。昨年から今年にかけてもユーロパリア・スペインが開催された)
そして初めてEU以外のテーマ国に選ばれたのが日本であった。

「ユーロパリア・ジャパン」は日本側の事務局としては本田技研工業の本田財団が中心となって行ったもので、八重洲にあった財団のビル内で故・本田宗一郎氏(1906-1991)とも、このプロジェクトの打ち合わせでご一緒したこともあったのが懐かしい。

このプロジェクトは1989年9月26日から約3ヶ月間開催され、日本からは浮世絵や能面・装束などの伝統芸術から、現代美術、現代陶芸、現代日本画まで幅広い作品群の展示、そして歌舞伎などの上演、教育に関するシンポジウムなどが行われた。

日本が世界でのプレゼンスを高めていた時代での開催であり、大変な評判を呼んだ極めて重要な国際文化交流プロジェクトであり、日本を代表する企業群が様々なプログラムをスポンサーした。

その浮世絵展のポスターがこの鈴木春信の浮世絵をモチーフにしたものであった。
(他にもイベントに合わせて多数の種類のポスターがあった)

鈴木春信『官女』をモチーフにした「ユーロパリア・ジャパン」浮世絵展のポスター
photo©️Kyushima Nobuaki

鈴木春信『官女』(ベルギー王立美術歴史博物館)
photo©️Kyushima Nobuaki

宮川香山『花瓶』

さて、それはさておき、展示場内には、ベルギー王立美術歴史博物館から里帰りした浮世絵や日本美術の名作の数々が展示されている。

その中の一つが宮川香山『花瓶』である。
大きな、存在感のある、そして彼の作風にしてはシンプルな名品である。

宮川香山『花瓶』
photo©️Kyushima Nobuaki

これは明治天皇が寄贈したもので、現在はベルギー王立美術歴史博物館所蔵である。

解説には下記のようにある。

帝室技芸員であった宮川香山(1842-1916)作の磁器化。コバルトで絵付けした上に雑薬をかけて焼成したものであり、単色の菊の花が幾輪も連なるデザインが印象的だ。菊の花はぼかしを用いて描かれている。いかにも香山らしいこの技法は 1880年代以降見られるようになったものであり、作品に厚みと深みを加えることに成功している。

宮川香山と万博

この宮川香山については

<16> 「重要文化財の秘密」展 東京国立近代美術館

でもご紹介した。

彼の『黄釉銹絵梅樹図大瓶(おうゆうさびえばいじゅずたいへい)』 (1892年)は1893年シカゴ万博に出展された。

初代宮川香山『黄釉銹絵梅樹図大瓶』、東京国立博物館 #重要文化財の秘密
Miyagawa Kozan I, Large Vase with a Plum Tree, Tokyo National Museum

また、1876年フィラデルフィア万博『花瓶香炉七福神ノ装飾』という作品を出品、1878年パリ万博では金賞を受賞した人物である。

また、彼の『褐釉蟹貼付台付鉢(かつゆうかにはりつけだいつきばち)』(1881年)は1881年第2回内国勧業博覧会に出品された。

初代宮川香山『褐釉蟹貼付台付鉢』、東京国立博物館 #重要文化財の秘密
Miyagawa Kozan I, Footed Bowl with Crabs, Tokyo National Museum

ちなみに、この宮川香山であるが、詳しくは「初代」宮川香山である。

この「宮川香山」という名跡は第4代まで続いたが、1945年(昭和20年)の横浜大空襲によって窯が壊滅し、1948年の四代の没後に途絶(廃窯)となってしまったのであった。

19世紀の海外の万博で活躍した宮川香山の、ベルギーに残る名品を見ることができたのは、嬉しい驚きであった。

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