オルセー美術館の『自由の女神』
オルセー美術館に入ると、入ってすぐのわかりやすいところに『自由の女神』像が立っている。

オルセー美術館の『自由の女神』(右手)
photo©️Kyushima Nobuaki
以前、筆者が1990年代に頻繁に訪れていた際にはこの像の記憶がなかった。
なので、その後設置されたのかもしれない。
『自由の女神』といえばニューヨークにあるものが世界的に有名だろう。
フランスの彫刻家フレデリック・オーギュスト・バルトルディ(1834~1904)による、当時「世界最大の彫刻」といわれたものである。
これについては、
でも詳しくご紹介した。
その中で、1876年フィラデルフィア万博、1878年パリ万博に、資金集めの目的でそれぞれ松明を持つ腕と手の部分、頭部が出展されたことを紹介した。
つまり『自由の女神』も万博の出展物だったのである。
また、この『自由の女神』、パリにあるものとしては、グルネル橋のたもとにあるものもある。
これについては、
でご紹介した。
アメリカ、ニューヨークに立つ『自由の女神』は台座を除いて高さ46・05メートルの大きさを誇る。
一方、パリ・グルネル橋の『自由の女神』は高さ11.4メートルである。
そして、このオルセー美術館に所蔵されているものはさらに小さく、高さ2.74メートル、ニューヨーク像の約16分の1のスケールである。
オルセー美術館に『自由の女神』像が展示された経緯
この像は、バルトルディ自身により鋳造が指示され、1900年パリ万博の際、初めてリュクサンブール美術館で展示された。
そして、万博終了後、リュクサンブール美術館のコレクションとなり屋内に展示されていたが、1906年には、隣接するリュクサンブール公園内(屋外)に設置された。
しかし、2011年にトーチの炎部分が盗まれるなどの盗難被害が起こったのをきっかけに修復されることになり、2012年にオルセー美術館館内に移設され、現在にいたる、ということなのである。

オルセー美術館の『自由の女神』
photo©️Kyushima Nobuaki

バルトルディ『自由の女神』のパネル
『自由、別名
世界を照らす自由』
と表記されている
photo©️Kyushima Nobuaki
オルセー美術館の『自由の女神』像の横のキャプションには、以下のような紹介がされている。
フレデリック=オーギュスト・バルトルディ作
1876年、アメリカ独立100周年を記念してフランス第三共和政から贈られたフレデリック=オーギュスト・バルトルディの自由の女神像は、19世紀フランス彫刻を代表する像の一つとなりました。
この巨大な彫刻は、フランスとアメリカの友好を称える共和政の記念碑であり、かつて第二帝政に反対していたエドゥアール・ルフェーブル・ド・ラブーレと、野心と才能に恵まれた公式彫刻家バルトルディの献身と粘り強さによって誕生しました。
バルトルディは、古代ギリシャ・ローマとヨーロッパ新古典主義に着想を得た古典的な図像表現を採用しました。
バルトルディは、ほぼ完全に君主制が敷かれた西洋世界において、大西洋を挟んだ二つの共和国が共有する価値観を、静謐ながらも力強く描き出しました。
この巨像は、金属構造をギュスターヴ・エッフェルが設計し、1886年10月28日にニューヨーク港で除幕式が行われました。
この小型の複製は、画家の生前、1900年9月にフランス政府によって購入され、リュクサンブール美術館に収蔵されました。