<157>東京・中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』

Uncategorized
東京都中央区中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』 photo©️Kyushima Nobuaki

中央区の中央大橋

東京駅から佃リバーシティ方面に向かって八重洲通りをまっすぐに行くと、隅田川にぶつかる。

そこにかかっているのが中央大橋である。

この橋は開発が進んでいた佃地区と新川地区を結ぶために1993年8月26日レインボーブリッジと同じ日に開通したもので、その特徴的な形はいろいろなドラマにもロケ地として登場している。

さて、その中央大橋の真ん中あたりに川上を向いて立っているのが、1937年パリ万博に出品されたものと同じ、彫刻家オシップ・ザッキンの『メッセンジャー』である。

東京都中央区中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』
photo©️Kyushima Nobuaki

東京都中央区中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』
photo©️Kyushima Nobuaki

東京都中央区中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』向こうには永代橋、その後ろに東京スカイツリーが見える。
photo©️Kyushima Nobuaki

<156>でご紹介したパリのセーヌ河畔に立っているのと同じ作品である。

パリの『メッセンジャー』との関係

どうしてパリのアンバリッド橋の近くにある、1937年パリ万博出展作の『メッセンジャー』が東京都中央区にも立っているのだろうか。

中央大橋の像の後ろに設置されている解説版を見てみよう。

東京都中央区中央大橋にたたずむオシップ・ザッキン『メッセンジャー』の銘板
photo©️Kyushima Nobuaki

そこには、次のような文言が記されている。

両都市と両河川をつなぐ友好を記念して、パリ市は東京都へオシップ・ザッキン作「メッセンジャー」を寄贈する。
92年10月27日 東京にて
ジャック シラク
 本作品は、1937年オシップ・ザッキン(Ossip Zadkine)47才の時の作品である。
この年に開かれた「パリ万国博覧会」に出品された作品であり、オシップ・ザッキンの作品の中でも大作の一つに数えられている。
  当時の万国博覧会の案内書によるとこの作品は『稀少木材を求めて海外に船を派遣するフランスの守護神を表したもの』とされている。
『メッセンジャー』は、パリ市の紋章にも描かれている帆船を思わせる船を抱いている。

パリ市は東京都と姉妹都市(1982年~)であり、セーヌ川は隅田川と友好河川(1989年~)となっている。

この作品はそういった関係で、親日家で有名で、普通の日本人も知らないような日本の山奥の温泉に行くのが趣味だったというジャック・シラク パリ市長(当時)から東京都に友好の印として贈られたものである。

そういった訳でパリの『メッセンジャー』はセーヌ川のほとりに、東京の『メッセンジャー』は隅田川のほとりに立っているのである。

「姉妹都市」、「友好河川」の贈り物として万博出展作品を選ぶとは、さすが「万博都市」パリの市長(当時)だったジャック・シラク氏のセンスのよさには感心するしかない。

タイトルとURLをコピーしました