新宿で開催中の「ウジェーヌ・ブーダン展」
現在、東京新宿のSOMPO美術館にて「ウジェーヌ・ブーダン展」が開催中である。
概要は下記の通り。
ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求
2026.04.11(土)- 06.21(日)
「印象派の先駆者」と呼ばれる画家ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)の、日本では約30年ぶりとなる展覧会、という。

SOMPO美術館外観と「ウジェーヌ・ブーダン展」サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

SOMPO美術館「ウジェーヌ・ブーダン展」サイン
photo©️Kyushima Nobuaki

ウジェーヌ・ブーダン展サインphoto©️Kyushima Nobuaki
ブーダンはクロード・モネ(1840-1926)の先生でもあった。
「印象派の先駆者」であり、厳密には印象派の正式メンバーでなかったが、この展覧会の作品を見ると、印象派のスタイルそのものである。
特に今回展示されている『干潮』(1884年)、『空の習作』(1880年頃、共に写真撮影不可)は、マルモッタン・モネ美術館で見たモネのあの『印象・日の出』(1872年)との共通したイメージを感じさせる。

パリ、マルモッタン・モネ美術館の『印象・日の出』
photo©️Kyushima Nobuaki

マルモッタン・モネ美術館 外観
photo©️Kyushima Nobuaki
今回は、海景、空、風景、建築、動物、人物の6つのセクションに分け、それぞれに関連した作品が展示され、見やすい構成になってる。
ブーダンと万博
やはり19世紀にフランスで活躍した画家、ということでいうと万博との関連が気になるところである。
このあたりについては
<39>ブーダンのパリ万博金賞受賞作品を発見!(松岡美術館)
でもご紹介した。
以下、<39>から抜粋してみよう。
ブーダンの1889年パリ万博出展作品
それは、ウジェーヌ・ブーダン(Eugène-Louis Boudin、1824-1898)の『海、水先案内人』(『Marines, les Lamaneurs』、油彩、カンヴァス 65.0×92.0cm)という、1884年、ブーダン60歳のときの作品である。
ウジェーヌ・ブーダン『海、水先案内人』
Eugène-Louis Boudin “Marines, les Lamaneurs”
この絵の解説には、次のようにある。
*
ブーダンはサロンに出品し続けた一方で、1874年の第一回印象派展にも参加している。
ブーダンの故郷、ノルマンディ地方は天候の変化が激しく、空は一瞬にしてその表情を変える。雲の動きを見事に捉えた空は画面の三分の二を占め、「空の王者」と称されたブーダンの自然に対する確かな観察限を伝えている。
この作品は 1889年のパリ万国博覧会で金メダルを受賞している。
*
さりげなく書いてあるが、1889年パリ万博の金メダル受賞作品である。
そんな貴重な作品が松岡清次郎氏によって日本に持ってこられていたのだ。
さて、万博亭秘蔵の1889年パリ万博美術カタログで確認してみよう。
この万博にはブーダンは合計5点の作品を出展している。
まず、「絵画と彫刻」のフランス部門に2点、
『Un coucher de soleil; – marine』 (『夕日、海辺』)
『Les Lamaneurs』
そして、Exposition Centennale(フランス絵画の回顧100年展)に3点、
『Panorama d’Anvers en 1871; – vue prise de la Tête de Flandre』
(『1871 年のアンヴェールのパノラマ。 – テット・ド・フランドルからの眺め』)
『Les quais d’Anvers en 1871 avant L’etablissement des docks』
(『埠頭が設置される前の 1871 年のアンヴェールの岸壁』)
『Vue du port de Brest』(『ブレスト港の眺め』)
この合計5点を出展している。
そして、この目の前にある松岡美術館の作品は2番目の『Les Lamaneurs』ということになる。

ウジェーヌ・ブーダン『海、水先案内人』
Eugène-Louis Boudin “Marines, les Lamaneurs”

松岡美術館
Matsuoka Museum of Art
photo©️Kyushima Nobuaki
ブーダンは、「印象派の友人」と言われた、万博事務総長だったアントナン・プルースト(1832-1905)からの要請を受け1889年パリ万博に5点の作品を出展し、金メダルを受賞した。
上記のようにその5点の中の一点は前回、松岡美術館で見ることができた。
残念ながら今回展示されている中には、その他4点に含まれる作品はないようだった。
しかし、これだけまとめてブーダンの名品を見ることができる展覧会は貴重であろう。
この貴重な機会に、1889年パリ万博参加画家・受賞画家のひとりであるブーダンの世界に浸ってみるのもいいのではないだろうか。
ちなみに、<192>でご紹介したようにモネは同じ1889年パリ万博で『チェイルリー公園』など3点を出品していたのである。

クロード・モネ『チェイルリー公園』

