松岡美術館へ
今年の夏も暑い日が続いている。
現在、東京・港区白金台の松岡美術館にて、
という展覧会が開催中である。

松岡美術館外観
photo©️Kyushima Nobuaki

展覧会サイン
photo©️Kyushima Nobuaki
ヴィクトリア女王といえば、その夫であるアルバート公が世界初の万博である1851年ロンドン万博を推進した、という女王である。
ヴィクトリア女王の治世は、アルバート公の逝去後も長く続き、1837年から1901年まで続いた。
この展覧会はその時期に活躍した画家たちの作品が展示されている。

展覧会風景
photo©️Kyushima Nobuaki
ブーダンの『海、水先案内人』
この美術館はウジェーヌ・ブーダン(Eugène-Louis Boudin、1824-1898)の『海、水先案内人』(1884年)を収蔵している。
この作品はブーダンが1889年パリ万博で金メダルを受賞したときの出品作品のひとつである。
今回の展覧会でも展示されている。

ウジェーヌ・ブーダン『海、水先案内人』
Eugène-Louis Boudin “Marines, les Lamaneurs”
この件については
で詳しくご紹介した。
この<39>の取材で訪れたときも暑かったが、今回も相当に暑い。
しかし、美術館内は冷房がちゃんと効いていて寒いくらいに快適だった。
ともかく、なんとか熱中症にならずに取材を終えられたのはよかった。
ベンジャミン・ウィリアムズ・リーダーと1889年パリ万博
さて、今回また新しい発見があった。
展示作品のひとつ、ベンジャミン・ウィリアムズ・リーダー(Benjamin Williams LEADER, 1831-1923)というイギリスの画家の『北ウェールズの穏やかな午後』(1885年)という作品である。

ベンジャミン・ウィリアムズ・リーダー『北ウェールズの穏やかな午後』
photo©️Kyushima Nobuaki
この作品の解説パネルには、次のように書かれている。
ウェールズやスコットランドなど英国各地の景観を忠実に捉えたリーダーの風景画は人気を博し、その名声は遠くアメリカ、カナダへも響き渡った。1889年パリ万博で金メダルを獲得し、同年フランス政府よりレジオン・ド・ヌール勲章を受ける。1898年ロイヤル・アカデミー正会員。
(後略)
リーダーの1889年パリ万博金賞受賞作品を突き止める
早速、筆者の持つ、1889年パリ万博の展覧会カタログを参照してみた。
これは
という資料である。翻訳すると、
というものである。
この資料中、イギリスからの出展目録を調べてみると、
89ページのNo.83に
とある。
リーダーはこの1点を出展したということになる。
この作品の名前は、翻訳すると『夕べに光あり』(英語原題:“In the Evening it Shall be Light”)ということになる。
リーダーはこの作品で1889年パリ万博で金賞を受賞した、ということになる。
今回の松岡美術館の解説は、今回の展示作品(『北ウェールズの穏やかな午後』)で金賞を受賞、ということではなく、作者のリーダーが1889年パリ万博で(『夕べに光あり』で)金賞を受賞した画家、という意味であろう。
この『夕べに光あり』(1882年)という作品は、現在は個人像ということだが、ネットで見ることができる。
『夕べに光あり』は、今回展示されている『北ウェールズの穏やかな午後』の3年前くらいに描かれた作品であるが、こちらの『夕べに光あり』を1889年パリ万博に出展したのであった。
『北ウェールズの穏やかな午後』も『夕べに光あり』も風景が素晴らしく美しく描かれており、イギリスの画家もパリ万博で活躍したことがうかがえる。
万博を通じてまた新しい画家を調べることができた1日であった。

